恋愛

小説を再び

3、4年前、恩師から聞いたエピソードを素材にした小説を書いた。大正から昭和にかけて世の中を震撼させた東北帝国大学物理学教授石原純とアララギの美貌歌人原阿佐緒の愛の物語である。我が恩師宮沢秀明は、石原先生の晩年の悲惨な最期を知る唯一の生き証人である。その恩師もすでに物故された。それ故、私が唯一このエピソードを知る人間となってしまった。

何としても、世に出したいという強い気持ちが私のなかにはある。なぜであろうか、と随分と考えみたことがある。きっと、このエピソードが人間の普遍的な愛の型であるからに違いないと考えるに至った。人によって愛には様々な形がある。十人いれば十人十色であろう。しかし、愛の型は普遍である。時間の壁を破って、後世に受け継がれていく。

このように考えた私は、無力ながら、無謀にも小説に初めて挑戦してみた。しかし、今振り返って再び読み直してみると納得がいかなかった。余りに拙い文章であり、内容が真の愛へ踏み込めていないことが痛切に判った。もう一度、書かなければ・・・、と思う気持ちが湧いてきた。しかし、こうこれ以上は今の自分には書けないのではないだろうか。無理だという気持ちが心の片隅にあった。

しかし、しかし、である。この4日間の連休に何と一日10時間以上をかけて無我夢中になって再び原稿書きに無謀にも挑戦したのである。頭が朦朧となり、夢遊病者のようになって書き上げたのだ。

何と諦めの悪い人間であることか・・・。自分のことながら呆れる。しかし、今は充実感でいっぱいである。

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